みなさんのお家には「本棚」がありますか?
もし、「ない」という人は、子どもは読書しなくなる可能性が高いです。
もし、「ある」としても、それぞれの個室の中というのであれば、同じように、子どもは読書しなくなる可能性が高まります。
私は【本棚効果】を使って、子どもが本を読むようになるにしています。教員時代からこの発想を持っていましたが、先日、塾でもこの効果を発揮した場面があったので、記事にまとめてみました。
お子さんに「本を読んでもらいたい」と考えている保護者様は、ぜひお読みください。少し長いですが、子どもが本を読みたくなる仕掛けを知ることができます!
「本棚効果」とは
「本棚効果」は調べてみると、単語として出てこないので、どうやら私の造語のようです。ということで、最初に定義しておきましょう。
【本棚効果】・・・本棚に入っている本のタイトルを繰り返し見ると、その本が気になり始めること。とりわけ近しい人物の本棚の本は意識されやすい。
本棚に入ったままの本でも、目に入る度に、タイトルが無意識にすり込まれていきます。
人間でも接触回数が多いと、その人への好意が高まるように、本でも同じ現象が起きると私は考えています。
教員時代には、漢文の文法に関するテキストは指定して買ってもらっていました。この本棚効果のためです。当時ベテランから猛反対されましたが、生徒の学力を高めるために説得するのに苦心したのを覚えています。
また、近しい人物の本棚は特に効果が高まります。どんな本が入っているのか興味を持ちやすいからというのと、「この人はこんなのに興味があるのかぁ」という気持ちがセットになる分、印象に残りやすいのです。
当塾では参考書や問題集はもちろんのこと
①私(原田)が興味をもった本
②子どもが読んでも面白いと思える本
の条件を満たした本を置いています。背表紙だけだと見ない人もいるので、数冊ずつ表紙が見えるように置いています。
『店長がバカすぎて』は結構人気です。単行本を置いていますが、文庫本も出ているらしく、小学生の男のが「みてみて~買ったよ~」って嬉しそうに見せてくれました。国語が苦手で、あまり本を読まないと聞いていましたが、うまく『本棚効果』があらわれました。
「本棚効果」の有効性はおわかりいただけたと思います。
ここからは「本棚」への考え方、家での「本棚効果」の用い方をご説明したいと思います。
本棚はその人の頭の中をあらわしている
「本棚」とは、「本を保管する棚」ですが、もう少し踏み入って表現すると・・・
「本棚」=「持ち主の頭の中」
このように表現できます。頭の中とは「考えていること・興味のあること」という意味で使っています。これは私の考えではなく、読書に関する本に書いてあったことです。
なるほどなぁと思いました。
私の家の本棚は古典に関する本が多いです。大学の研究に関わったものなので、自然と増えています。その次は学術文庫や教育に関する文庫本ですね。学校の授業に関連するものが多いです。最後は小説がちらほら・・・といったところでしょうか。(開塾前は圧倒的に学習参考書が多かったですが、今は塾の方に持ってきています。)
学校の授業に関連する本が多くなった理由は、「教科書に出てきて気になった文章が書かれている本を手に入れて読んでいたから」です。
高校の授業って指導書があるので、知識が無くても授業ができてしまいます。ただそれだとかなり薄っぺらい授業になるんですよね。それに一部分だけを読んで、筆者の考えとは・・・と語るのは私には怖かったのです。
だから、どういう話の一部分なのかを必ず掴むようにしていました。問題集や入試の問題でも気になるとゲットして読んでいたので、更に増えていました。
そうこうしていると、学校の教科書も置かれていますが、登場した話か書かれている本もあるんですよね。別々のテキストだけど、中身は繋がっている本が多い。それが私の本棚です。
就職してからの私の頭の中は「学校の授業に関する内容」がメインです。そして、サブとしては、「作家まとめて読み」の本たちがあります。
本を読んでみて、面白い発想をしている人や読みやすい文章の書き方をしている書き手を見つけると、その人の本で、手に入れやすいものは一通り買ってしまいます。
外山滋比古、内田樹、森博嗣・・・
この辺の人はあらかた読みました。そして、なんと、この人たちは入試の現代文によく出るんです。
入試に出るから読んでいたという意識はなかったのですが、気づくと入試によく出る筆者の本でした。この人たちの文章が問題になったときは、「あ、読んだことある」となります。
現代文の文章は同じものが出ない
これはウソです。出ます。出ないって言っている人は読んでいる量が少ないんです。
本棚を眺めてみると、自分の頭の中の傾向がわかります。私もこの記事を書くために改めて眺めてみて、自分の傾向がはっきりしました。
みなさんも一度自分の本棚を眺めてみてください。
(※本棚がないという場合は、ぜひ本棚を作って、頭の中を眺められるようにしてみてください)
まずは家族それぞれの本棚を作ってみよう
家庭での「本棚効果」の活用法は簡単です。
それぞれが本棚を作る
これだけです。本棚も大きいものを用意する必要はありません。カラーボックスでも構いません。気になった本をいれておけばOK。読んだかどうかは問いません。気になった、読んでみようと思ったという本で良いのです。
気づいたら読んでいることもありますし、積ん読になる可能性もあります。それでいいんです。
家族それぞれの本棚ができたら、お互いに見てみましょう。
特に子どもは、親の本棚には興味がわきます。意外と家族が何を考えているかわからないものです。親も子も何となく聞きにくいんですよね。だから、黙ってても分かる本棚は意思表示にも使えます。
学年にも寄りますが、子どもは大人の本に憧れを持つ時期があります。読めないけど読んでみたい。そんな気持ちをうまく刺激してあげてください。
いつでも読んで良いよ
こう言ってあげるだけで、「本棚効果」の効力がアップします!
気になる人の本棚を見てみよう
家族以外の本棚でも、気になる人の本棚は見てみると良いですよ。
あまり機会はないかもしれませんが、お呼ばれしたときでもいいですし、職員室とか学習塾とか、本棚が見える機会があると思います。そういう時にチラッと見てみましょう。
大人にとって職場にある本や資料は当たり前のものかもしれませんが、子どもにしてみれば、珍しいものです。職場見学という形で連れて行けるなら直接見ても良いと思いますし、写真OKな部分だけでも撮って見せてあげるといいと思います。
図書館・本屋の本棚は?
本棚といえば、「図書館」や「本屋」にもあります。その本棚じゃダメなのか?と思う人もいるでしょう。
これは活用の仕方によります。
まず、「図書館」は調査・保管が目的です。そのため、体系的に整理され、並べられています。自分の興味のあるジャンルがはっきりしていれば、その棚を見ることで、読んでみたい本が出てきます。
次に、「本屋」は販売が目的です。そのため、「売れる」と判断された本が並んでいます。本のプロがおすすめする本を読んでみたいときには良いです。とくに、整理された棚ではなく、平積みできるように置かれている棚がいいですね。フェアとか推し本が置かれているところは、書店ごとに異なりますので、何軒かはしごしてみると面白いと思います。
「図書館」も「本屋」にも興味のある本はあると思いますが、「接触回数が少ない」というデメリットがあります。自宅の本棚やよく行く場所の本棚は「接触回数が多い」ので、より効果的になると思ってください。
まとめ
さて、「本棚効果」について、説明してみました。
図書館や書店よりも、お家やよく行く場所の本棚の方が接触回数が多く、効果が高いです。
もし、お子さんが「本を読まない!」と思っている保護者様がいましたら、一度、自宅の本棚を見てください。本棚がないということは、本の接触回数が少なくなるので、読まないのは当然です。また、自室にあって子どもの目につかないという場合も同じことがいえます。
自宅に本棚はあるけれど、ずっと昔から更新されていないという状態ではないでしょうか?辞書とか辞典が並んでいるだけというのも、あまり効果が期待できません。
やはり、更新されていて、保護者様の考えや興味が分かり、なおかつ、読んでいる姿があると非常に良いですね。本棚効果が最大限に発揮されます。
「本を読みなさい!」
これでは何の効果はありません。むしろ反発心が生まれて、余計に読まなくなります。
ぜひ、「本棚効果」を狙ってでよいと思いますので、本棚を用意して、見えるようにしてみてください。
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